朝早く事務所へと通う車内は、携帯画面に見入る人、イヤホンをしている人、
疲れきって寝ている人など、全体的にどんよりとした空気に包まれています。
ともすると自分もそんな波動に飲み込まれてしまいそうになる時もありますが、
この日は、新宿方面から上がる朝日を見て、歓声を上げている人が何人かいて、
そんな人達と乗り合わせることができると嬉しくなります。
この現場は、横浜市青葉区の庭。
ちょうど二年前に産まれました。
これは、もともとあった庭を更地にして、生け垣を植え終わったところです。
そよそよとした庭を望んでいた庭主さんの期待に応えるべく、
在来種の野山の木をバラエティ豊かに選んで、
林床は、本当の山の中のような雰囲気に近づけようと、
ウッドチップを敷き詰めてあります。
足の裏から伝わるフワフワとした感触は心地良く、雑草もあまり生えず、
落ち葉が落ちても全然気になりません。
L字型の庭の地形を活かし、蛇行して行く小道は、
この奥にはどんな風景が待っているのだろうという期待感を抱かせます。
これは、植栽後一年経った、ある夏の日の風景。
玄関前には、既存のシマトネリコがだけが勢いがあってボリュームがあるので、
それを手入れでうまく透かして軽くして、新しい雑木の仲間たちとの調和をとります。
そして、今日は二歳を迎えた庭の定期検診です。
今が盛りの紅葉がきれいな葉っぱをあまり落とさないように軽く整え、
かつ来年の庭の健康と風景を考慮しての手入れです。
この空間は、ギャラリーページのUM庭でもご覧いただけます。
事務所のすぐそこ、浅間山の木々も少しずつ少しずつ色づいてきました。
今年も残すところ後一ヶ月。
お客様達が気持ち良く新年を迎えられるように庭をきれいに整え、
かつ庭の木々が長い視野で見て良い住空間を醸成していけるように、
心を込めて、手を入れさせていただきます。(T)