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スケール感

昨晩、『大北望作品刊行記念特別講演会』が開かれました。

日本を代表する造園家、姫路の大北美松園・大北さんの作品集が発刊されたからです。

写真家、信原修氏が撮りためていた写真を中心に、作品解説、作品図面集、作品論など、

大北さんのこれまでの集大成が凝縮されており、実に見ごたえのある一冊になっています。

講演会では、日々苦労し格闘して重ねてきた40年数年の経験を7つの格言とも言える言葉で庭のスライドと共に、庭を創る者にとってなくてはならない精神的なこと、技術的なことだけではなく、庭との向き合い方などを、生きた言葉で熱く語っていただきました。

住宅庭園規模の1:50や1:30のスケールはある程度経験を積んでいけば誰でもできるといいます。1:300など、何千坪何万坪のスケールになると図面を読み取りすべての絵が描けていて、それを実行する力を持ちながら臨まないと納得はしてもらえないのかもしれません。

庭は現場合わせの箇所が多々あるため、設計変更がつきものです。ゼネコンの設計者と同じか、それ以上の立場で議論を重ね納得させていくには、相当な苦労やストレスがあり孤独であったと思います。今までの経験と日々の努力で裏付けた自信がなければ負けてしまうでしょう。

大北さんには負けてしまわない自信と、自分を追い込み常に新しい物に挑戦すること、そして何よりもお客様に喜んでいただこうとする遊び心が庭に溢れています。

すべてが、良い空間になり、すばらしい雰囲気に包まれるように格闘していました。

講演最後にポツリと言った「もっと異端児になりたい」という言葉が印象に残りました。

これからもすばらしい空間を作り続けて、若手の目標でいてください。

この度は、作品集発刊、おめでとうございます。(F)