千葉県鴨川市の家の完成見学会へ行きました。
二十坪ほどの小さな木組みと土壁の家です。
新建材を一切使わず、国産の自然乾燥させた木を使い、丁寧に手刻みで建てています。
建物が自律的に振る舞う柔構造は古武術に通じる部分もあり、
しなやかでたおやかで、地震の時にも力を逃し家を守ると言います。
大きな梁などの構造部分を見せることで、それが意匠としても機能しています。
ロケーションは、棚田の休耕田の上のとても見晴らしのいいところです。
設計から施工まで一貫して行うのは、
深田真工房(http://www.ne.jp/asahi/fukada/gont/)の深田真さん。
生家は昔ながらの日本家屋で、庭に栗や柿などたくさんの樹木が生きていたそうです。
そんな幼い時の座敷童と共に過ごした記憶が、今の仕事の原点のようです。
気持ちのいい風が通り抜け、この上なく心地よく、いつまでも寛いでいたい感じです。
すっかりリラックスしてしまい、深田さんにはいろいろなお話を聞かせていただきました。
縁側からの眺めは、池こそないものの修学院離宮の上御茶屋からの景色を思い出します。
壮大な景色を背景にして、大きな木が近景としてありいい感じですが、
このような環境では、作り込んだ庭など必要ないようです。
この竹をつっかえ棒に解放されている部屋は、お風呂場です。
露天風呂のようにここからの景観を堪能できます。
ついつい長湯してしまいそうです。
部屋の中の設えも、品があります。
身の回りの自然の材料だけで作られたこの家では、
親子4人のご家族が住まわれるそうです。
心地よい風の通り抜けるこの朗らかな住まいで、次の世代になっても、
二百年、三百年と住み継いでいくのでしょう。
深田さん、お施主様、どうもありがとうございます。(T)