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早春に賦す

 

ここ数日の暖かな天候に恵まれて、あちらこちらで春を告げる花たちが開花を始めています。

早春に咲く花は比較的、黄色の花をつける植物が多くあります。

マンサクやサンシュユ、アブラチャンなど鮮やかな可愛い黄色の花をつけます。

春の雑木の花は黄色から始まり、白色から紫色へと移っていき夏に向かっていくようです。

菜の花も綺麗に群れをなして咲いていました。

カタクリも雑木林の足元から顔を出しはじめました。

落ち葉にまぎれ、見過ごしてしまいそうな小さなカタクリの花。

これから群れをなして咲いてくると雑木林がにぎやかになってきます。

蜂や蟻などの虫たちの動きも活発になってくる頃です。


一雨ごとに暖かさを増し虫達も活発になる春の長雨に泣かされていた練馬の現場も、

今週に入り天候が安定してようやく竣工にたどり着きました。

二世帯住宅の中庭がデッキで繋がるプライベートな空間です。

境界のブロックが低く、視線が気になり部屋の窓のブラインドを開けることができませんでした。

そこで目隠しとしてウッドフェンスを設け、大きな植栽スペースを幾つか作り、

高低差を付け変化を持たせることによりフェンスの圧迫感を軽減しています。

雑木を中心に山の雰囲気が感じられるように、やわらかく植栽することを意識して植えられました。

水鉢は英国製のアンティークたらい。

バケツよりも大振りでゆったり水が入ります。

大きな鏡のように樹木を映し、光を反射して潤いと動きをもたらします。

スペースの小さい所ほど、大きくゆったりと観賞ポイントを取った方が空間が生きてくるようです。

今後、水鉢には睡蓮とメダカが入れられることになっています。

写真ではなかなかうまく伝えることができないので残念なのですが、

小さなスペースながらも等身大で自然を感じられる空間になっています。

これから芽吹いてくると印象も良くなり、グッと雰囲気を増してきます。

水の滴る音、小鳥の声、風の音など、庭を通して今まで気付かなかったことが、

五感で感じられるようになります。

潤いのある環境で暮らしを楽しみながら、

笑顔が絶えない空間になったら嬉しく思います。

 

依頼から竣工まで約1年がかりになりながらも、辛抱強くお待ちくださった庭主様。

庭の完成を本当に楽しみにしてくださったお母様。

心より感謝いたします。ありがとうございました。(F)