今年も残すところ、わずか二ヶ月、待ったなしで怒濤の手入れが始まりました。
この日は風もなく秋晴れのとても穏やかな一日です。午後から剪定枝を堆肥にするため、
陶陽庭に運び入れます。一年も寝かしておくと、とても状態の良い腐葉土が出来上がります。
その腐葉土を寒肥えとして、油かすや鶏糞など何種類かブレンドして木の根元に埋め込んだり、
畑の肥料として混ぜ込んでいます。
一般的に剪定枝はゴミとして処分されますが、こうして循環させることができると、
とてもゴミとは言えない立派な資源です。
陶陽庭がある上野原の地元農家の方々も「このような腐葉土が畑には一番良い!」と
喜んで貰いにきてくれます。
化学肥料に頼らず、うまく循環していけると素晴らしいのですが。
陶陽庭からの帰路、たまには違うルートを通ろうと、かつて長寿の村として有名になった
棡原(ゆずりはら)村を抜け、檜原村に出ました。
檜原街道沿いには秋川渓谷があります。とても良い渓谷です。
この渓谷は幼い頃からキャンプや釣りをしによく訪れたことがあります。
魚の方が一枚も二枚も上手な為、まったく川魚を釣った記憶はありませんが、
小学校卒業文集には趣味は釣りと書いてありました。
釣ったことは覚えていませんが、楽しく飛び回っていたことは覚えています。
なかなか渓谷上流には子供達だけでは行けず、親をはじめ大人の力を借りて行ったものです。
釣れない事を分かっていて付き合ってもらったことに、今さらながら感謝をしています。
この滝は、吉祥寺滝と呼ばれている所で、吉祥寺というお寺のそばにあります。
写真では伝わらないと思いますが、かなり豪快な滝です。
しばし佇んでマイナスイオンを十分吸収してきました。
五日市に入りしばらくすると、秋川渓谷沿いに炭焼き山菜料理の「黒茶屋」があります。
ここは250年前の庄屋屋敷を移築した母屋を中心に離れが点在しており、
山里の風情が味わえるお店です。
離れも茅葺きや杉皮葺きの屋根に苔や草、シダなどが生え、楽しませてくれます。
この「黒茶屋」は、私の尊敬する庭師・金綱重治氏の設計・施工の箇所もあります。
見に来るたびに新たな発見があり、勉強させられます。
「黒茶屋」からほど近くに広徳寺という応安6年(1373)に創設された
臨済宗の寺院があり、そこまで足を伸ばしました。
この写真は総門で入り口にあたります。檜皮葺きの下側が茅葺きとなっています。
参道沿いに進むと山門、本堂と続き、その山門は茅葺き二層式で美しさは絶品です。
このような地にひっそりと、こんなにも美しい建築が残っていることに感動すら覚えます。
堂々としたカヤやタラヨウの巨樹も歴史を感じさせます。。
時代を超えて感じることのできる美しさに接する中で、未来に恥じぬように、
今できる精一杯のことを考え、行動していかねばならないと強く感じた一日でした。(F)