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残したいもの

代官山の商業施設から、その裏手にひっそりと佇む豊かな緑に囲まれたお屋敷が見えます。

崖線地形を取り入れた約5000㎡の庭の中に残されている住宅は大正期のものです。

かつてはおかかえの庭師が7名いたと伝えられる名家の庭も、

一時は荒れ果てて鬱蒼と陰っていたようです。

2006年から二年間かけて整備され、その際に出た剪定枝葉は

一回目だけでも、2tトラック20台もあったそうです。

そんな整備の後、庭に光と風が入るようになり、

林床に生えてくる植物も変わってきました。

処分することも検討されていたこの空間は、商業施設の建築家や朝倉家当主、地元有志の署名活動で

残され、再生され、今も地域の財産として慕われています。

この日は、箏の生演奏で新緑の季節にふさわしい演目を聞け、お茶も振る舞われました。

現在も各地で、解体の危機に瀕している住宅や庭はたくさんありますが、

こうした形で残していくことができれば、とても多くの人の心が潤うだろうなと感じました。(T)