多摩川の上流にたたずむ玉堂美術館を訪れました。
日本画家の巨匠、川合玉堂が青梅市御岳で晩年を過ごしたのを記念して建てられた美術館です。
建築は吉田五十八氏、庭園は中島健氏と日本を代表する人たちで設計されています。
庭園はシンプルな構成ではありますが、周りの山を取り込み壮大な景色が広がっています。
雑木と花との自然観を得意としていた中島健氏の作風とは違い、本当にシンプルです。
その土地の置かれた環境や空気感を大切にして、この空間は生み出されたのでしょう。
美術館の中には、玉堂が16歳、18歳の頃に描いた写生があり、
それが驚くほど精密に描かれていて、目を奪われました。
基本がしっかりとしているからこそ、歳を重ねて、画風が変化したりしても、
作品に品と深みが出るのかもしれません。
庭も同じで、基本をしっかりと押さえないと、人に感動を与える空間は生み出せない気がします。
自然と共につつましく生きる人々の姿があるのが玉堂画の特色であり、
自然以上の自然を描き出すと評されますが、そんな神の領域には及ばずとも、
せめて、少しでも美しい自然に近づきたいと、
日々庭づくりに精進しています。(F)