久しぶりの海、朝日を見ようと朝早く出てきましたが、
厚い雲に覆われて見る事が出来ませんでした。残念。
葉山の現場は、住宅分譲地で長方形の土地ですが、オーナーの希望で建築を斜めに振ってあります。
庭としておもしろい感じになるのではないか、と楽しみな案件です。
良い提案が出来る様、イメージを膨らましていきたいと思います。
ここ数日、暖かい日が続いているので、春の花たちもようやく顔を出してきました。
スイセンやマンサク、梅やユキヤナギが綺麗に咲き始めています。
すぐそこまで春が来ている事を、花によって教えてもらいました。
植物の健気な姿で、私たちはリズムを取り戻す事ができます。
打ち合せ後、鎌倉に立ち寄りました。
鎌倉には幾つもの切通しがありますが、上の写真は釈迦堂切通しです。
このような洞窟的な切り通しは珍しく、なかなかの迫力があります。
荒々しく削られた壁。高さ約8mほどある壁面の上部は、
石質や削りだされた時代も古く、風化が著しい印象を受けます。
下部はやぐらなどが掘られ、供養壇や石塔類が設けられております。
石ノミの跡も残っている感じは生々しく、人と自然と長い年月でつくられた、
力のある切り通しです。
切り通しから削りだされた石は鎌倉石と呼ばれ、凝灰質の粗粒砂岩です。
柔らかく、加工・細工のしやすい鎌倉石は、用途も多く、さまざまな物に使われてきました。
耐火性も強く、蔵や鍛冶屋の炉にもなっていたそうです。
北鎌倉の浄智寺は鎌倉石をつかった美しい石段がありました。
長い時間をかけて、人の足と風化によって削られた鎌倉石は 丸びを帯び、
苔も乗り、渋い味わいを醸し出しだしています。
先人たちの積み上げた石段は美しい色気を漂わせていました。
尾根が複雑に入り組んだ鎌倉の地形を利用して、
山と山の谷間に鎌倉ならではの庭園文化が築かれていったのでしょう。
庭のちょっとした所に、さりげなく、ぽつんとある五輪塔も美しさを感じます。
材木座で4年前に手掛けさせていただいたお庭は、庭主様の愛情で格段に雰囲気をましています。
林床も丁寧に清められ、苔も乗りはじめました。
最近チャドクガの発生が多く、敬遠されてしまう椿ですが、何種類か植っています。
庭をよく観察して愛情をかけているので、初期の段階で駆除でき、
虫に食べられる事なく綺麗な花をつけています。
椿はとても良い樹木です。愛情のかけかた次第なんですね。
室礼を大切にして、季節を重んじて接している事で色々なものに意識がいくのかもしれません。
写真のアプローチも苔と同化してくると、ぐっと色気をましてくると思います。
色気….。
簡単な事ではありません。生涯の課題でしょう。
時と共に色気を醸し出しながら美しくなる空間、
常に意識はしていますが、なかなか難しいようです。
色気を感じられるようになり、歳と共に色気の漂う庭づくりをしていきたいものです。(F)