立川での今年最初の庭作りは、雪かきから始まり、
留守番でしっかりと家を守るワンチャンの好奇心旺盛な視線を受けながら、
無事に終了しました。
次の現場へ向かう前に、材料の調達と心をニュートラルに戻すことを目的に、
一度、山梨県上野原市の陶陽庭で一時を過ごします。
上野原インターを降りて、陶陽庭へと向かう途中には、
大きなケヤキの木があり、そこには20を越すヤドリギが寄生しています。
望遠レンズでズームアップすると、新酒ができた時に古くからの酒屋さんで見かけるような、
こんな姿が捉えられました。
これは実は付けていないのかもしれませんが、
先日、ある花屋さんでは、ヤドリギの実として、
こんなものが売られていました。
陶陽庭の下を流れる川には、降雪から一週間以上経っていますが、
これだけ雪が残っていました。
陽当たりのいい場所では、今年最初のフキノトウも収穫できて、
出始めでまだ苦みが多く、それだけに格別に美味しい野生の味をいただけました。
この地で、原点に還り、また次なる庭作りへと準備を進めます。
次の現場は、昨年10月に主庭が完成した吉祥寺の庭で、
駐車場奥に自転車小屋を作ります。
まだ小学生の頃に、『独りだけのウイルダーネス』という本を見て、
その作者の生き様と、
彼がアラスカの地でセルフビルドで作った草屋根の小屋に魅せられ、
父の教えを請いながら、草屋根を乗せたミニチュアのログハウスを作ったことがあり、
それは今でも大切にとってあります。
本に載っていた写真を、よくよく観察して構造を考え、
木を一本一本削って組み合わせ、窓枠はマッチ棒で作り、
屋根には本当の芝生の葉っぱを乗せてあります。
人生に暗中模索し、旅を続けていた頃も、
各地で日本古来の芝棟や海外が起源の草屋根を目にしてきました。
そして、次の現場では、修行中の身ながら、
20年来思い焦がれてきた草屋根を、
実物大で作ることに携わることができます。
そんなチャンスをくださったお客様に感謝をすると共に、
ただ草屋根を作ったというだけでなく、
美しい庭という風景の中にさりげなく馴染む美しい草屋根の自転車小屋作りで、
その一助となれるよう気持ちを引き締めているところです。(T)