山梨県上野原市の陶陽庭でも、
遅ればせながら、やっと冬が到来し、落葉樹達はその葉をほとんど落とし、
冬枯れの木立の中で、幹を楽しむ季節になりました。
そんな中、モミジの枝に、美しい黄緑色の繭が二つぶら下がっていました。
家に帰って、それが何の虫なのか調べてみたところ、
ウスタビガという野蚕でした。
ヤママユのように全国の野山で自然の状態で生息している蚕は天蚕と総称されていますが、
このウスタビガも天蚕に分類されることもあるようです。
写真から、枝と繭をつないでいる柄がわかるでしょうか。
これは、ウスタビガが自らの糸で作ったもので、
もったいないから引っ張ったりはしていないのですが、
ものの本によると、大人の力でもなかなかとれないそうです。
日本では古来から、いろいろな色の微妙なグラデーションを繊細に分別して、
名前を付けてきました。
この繭の色は、若草色とも萌葱色とも柳色とも似ていて、
どれに当てはまるのかはわかりませんが、
とにもかくにも、その天然色が絶妙に素晴らしく見とれてしまう初冬の昼下がりでした。(T)