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地域を潤す庭

2009年の春にオープンした「庭のホテル 東京」です。

2年前幸いなことに、この庭づくりに参加する機会に恵まれました。

庭の設計施工は山田茂雄氏(山田茂雄造園事務所)です。

山田さんは、中島健さんの右腕として頭角を現し、名園を創り出してきた実力者です。

現在は息子さんと共に、大きな公共スペースから住宅庭園まで数々の美しい空間を手掛けています。

この庭のホテルは野山の木を中心に、山奥の雰囲気を醸し出しています。

その為には木を傾けたりしながら植栽をしていくのですが、

人工地盤のため土の量も制限されていました。

微妙な傾きの加減で雰囲気が変わってしまうため、

自然に柔らかい感じを損なわないように、

地盤に固定していくことがかなり大変だったことを記憶しています。

石の扱いも斬新で、自然の景色の中にも造形的な一面が見られます。

この写真の円柱型の石は、橋脚の基礎として使われていたものですが、

他に神社の鳥居の笠石を使ったり、一番上の写真にある水盤のように

手彫りで作っていた時代の石臼なども使われています。

庭は作った時が一番良いのではなく、時と共に美しくならなければなりません。

その為には5年10年先のことを読み、樹木の成長を考え、

木の持つ力を最大限引き出していけるような空間にしなければいけないのでしょう。

作庭当初より遥かに美しい空間になっている庭を見て、私ももっと先を読みながら空間取りを

していかねばと、改めて思いました。

山田さんの庭には独特の空気が流れています。

仙川の武者小路実篤記念館のそばにある「森のテラス」は、

国分寺崖線と言われるハケを利用した森のような庭が、

地域の人たちに開放されています。

大きなコナラやソロなどの雑木を最大限にいかし、要所、要所に草花が寄せ植えしてあり、

木漏れ日の踊る庭に爽やかな彩りを添えて、見る人を楽しませてくれています。

そこでは地域の人たちに様々なイベントなどで利用してもらい、

「雑木の庭」を実際に見て楽んでもらっており、

秋田でもまた壮大なスケールでの環境づくりが進められています。

地域の人たちと共に、未来に向けて環境を整えていけることができれば素晴らしいことです。