武蔵野の一角・府中市浅間町に構えている事務所の近くには比較的自然が多く残されています。
武蔵野の雑木林の面影を残す浅間山公園、はけと呼ばれる河岸段丘とその下に流れる野川一帯。
ここ野川公園では風土に適した在来種の樹木や山野草を観察することができます。
東八道路を挟んで北側にはこのような木道の散策路があり、
南側には雑木林と芝生が広がっています。
ここは、もともとゴルフ場だった場所を昭和49年に買収し、
その周辺の神代植物公園、武蔵野公園、多磨霊園、調布飛行場、浅間山公園、府中の森公園などの
緑地を含め「武蔵野の森構想」のもとに造成を行い、昭和55年に開園したようです。
かがみ池にかかる残照のモミジです。
百合の実も種を飛ばす準備万端です。
日本においては、ゴルフ場は企業の接待に多く利用され、バブル景気時代に建設ラッシュが起きて、
リゾート法がその後押しをするようなこともあって、1990年代には日本のゴルフ場の総数は
2000を超えたとも言われています。
この多すぎるゴルフ場を少しずつ自然に還していくことが、一世代前の時代の反省を鑑みて
私たちの世代にできることの一つなのかもしれません。
野川でも、川沿いに湿原や貯池、田んぼなどを復活させる自然再生事業を行っている
という看板が立っていました。
まさに自然そのもののような美しい風景を作り出す庭師の故・道家健さんは、
座談会「飯田十基の精神」の中で、
「庭を作ってきた技術でもって、壊してしまった自然を再生する方に活用できればいいと
願っています。」と述べ、
庭を作るというよりも、風景を自然に返納していくことの必要性を語っています。
コスモスが風に揺れる野川っぺりを歩きながら、そんなことを思い出しました。
来年もまたありがたいことに、既に何件か、お客様の家の新しい住空間作りを依頼されています。
そこで私たちにできることは、庭を作るというよりは、その地の風土を感じ、
在来種の木を、自然に還すという意識を持って植えることなのかもしれません。
野川から見るすすき越しの夕焼けです。
そんなことを考えながら、「はけ」の辺りを歩いていると、こんな屋台を発見しました。
火鉢と鉄瓶で沸かした小金井の井戸水で、豆を手動で挽いてコーヒーを出してくれる
「ドアのない喫茶店『珈琲屋台 出茶屋』」(http://www.de-cha-ya.com/)です。
日替わりで小金井近辺に店を出しているようで、一度通り過ぎたものの、
ものすごく気になって戻ってコーヒーを注文しました。
使っている道具の一つ一つが味があって、見ていて楽しく、炭火の遠赤外線にあたりながら、
美味しい美味しいカフェラテをいただきました。
どうも、ありがとうございます。(T)