壁式RC造2階建ての住宅。久しぶりに地元府中での庭づくりでした。
西側隣地には13階建てのマンションが建ち並び、
今後東側の近隣に高さのある建物が建つことが想定され、
外部からは閉じ、内部からは開くことを意識されて設計された住宅。
高層化が進む周辺環境の中で、プライバシーの高い内部および外部空間が設けられています。
3つの棟から3つの庭が眺められます。
その中のひとつがプライベートな中庭(坪庭)です。
玄関を開けてはじめて目にする空間。
この現代的な建築の外部空間に、どのような空気感を漂わせていくかが大きな悩みどころでした。
以前つくられていた庭を解体して土地を整えていきます。使えるものは全て使っていきます。
オーナは以前から骨董などに興味があり、センスの光る数々の品を集めていらっしゃいました、
その中に大振りの水鉢や山梨県の四半石などの石材もありました。
保管されている八ヶ岳の別宅を目指して、
たのしくドライブしながらお話させて頂きました!
結構な石の量ですが、収めるところに収めれば、
小さなスペースにもすんなりと納まります。
そして竣工。
イメージしたことは、標高を高く上げていくこと。
現代の都会的な建築とのギャップを意識しました。
里山よりも、少し人里離れた空気がながれるような感じです。
四方から眺めることのできる中庭は、景色が展開していき、
小さなスペースではありますが、狭さを然程感じさせません。
玄関を開くとお地蔵さんが出迎えてくれます。
安住の地に鎮座したようです。
階段を上がっていくときの景色。
写真では伝わりづらいのですが、高低差がかなりあります。
全ての水はこの水鉢のところで浸透処理しました。
浸透させることでしっとりとした潤いをもたらします。
水鉢も庭の面積にしてはかなり大振りですが、良い雰囲気を出してくれています。
商業地であるため開発となると、多くのみどりがどんどん失われています。
その中で小さな3つの庭のみどりが、爽やかな風に揺れています。
感性を信頼していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
気持ちよく集中して打ち込むことができました。
将来はもう少し、渋い空間にしていきたいですね。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。ありがとうございました。