藤倉造園設計事務所

雰囲気づくり

赤城山と榛名山を見渡せるちょうど真ん中の地、渋川。

澄んだ晴天の日には雪のかぶった武尊山も望めます。

施工初日は短い時間眺めることが出来ましたが、

その後、なかなか澄んだ山の姿を現してくれません。

いつ見られるかな、と想い続けることも楽しみのひとつです!

この庭のオーナーは小学校時代の同級生。

同窓会の時に庭づくりの話を伺ってから2年あまり、

大変お待たせしてしまった現場です。

 

彼女は現在陶芸家として活躍しています。

同じものをつくる人として、黙々と作業して形にしていく姿は本当に刺激をもらいます。

その工房と自宅リビングをつなぐ空間の庭園設計施工。

玄関やリビング、そして工房アトリエからと眺める角度が様々あり、

景色が展開していける空間づくり。

夫婦揃って山や自然が大好き。子供達も当然自然とのふれあいを楽しみにしています。

中庭で森林浴のできる、家族団らんのスペースとなり、

玄関を開けた瞬間から、深山幽谷の雰囲気を醸し出せる空気が流れるようにつくり込んでいます。

作業をしていると汽笛が聞こえてきます。

なんとSLが現場の目の前を走っているのです。ちょっぴり感動。

小学生時代にハマった銀河鉄道999と重なりました。

マニアたちが写真を撮る為に、朝早くから三脚を立てて場所取りをしています。

『テツ』たちに混じり私も写真を撮りに。

カメラ越しではあっという間に通り過ぎてしまいましたが、

迫力は堪能できました。複雑で手間のかかる汽車は電車には無い魅力を秘めています。

テツたちと少し話しましたが、2分後には専門用語が飛び交い話についていけませんでした。

この世界も深いですね。。。

着々と雰囲気づくりを進めています。

品の良い空気が流れるには、まだまだこれからです。

今週はようやく植栽。集中していきます!!

 

木漏れ日の中で

久しぶりに浅間山に行きました。

雑木林の中で空を見上げると、きらきらとやさしい木漏れ日の中、

今にも咲き出しそうな蕾みがエゴの木を覆っています。

この花は浅間山の名物、ムサシノキスゲ。自生地は現在、浅間山だけだそうです。

ニッコウキスゲの変種で低所の乾地におりた型です。

ユリ科のワスレグサ属に分類される多年草で、丘陵地の林床や草地に生育し、

花は淡橙黄色で素敵な芳香があり楽しめます。

今年は例年より寒かったせいか、花の状態があまり良くないようですが、

雑木林の林床が、色彩豊かに染まっています。


この花はキンラン。

ギンランやアマドコロ、キツネアザミやアヤメなども可憐に花を咲かせています。

 

話は変わりますが、先日雑誌に掲載するための庭の撮影を行いました。

新緑も一段落。みどりにボリュームが出始めたタイミングで撮影が行なわれました。

雲の動きを読みながら撮影ポイントを決め、光を上手に捉えながらカメラに収めていきます。

自分が考えてもいないようなカットで撮られていくのは新鮮で、構図の勉強にもなります。

天候にも恵まれ、きらきらとした木漏れ日の良い写真が撮れたのではないかと期待しています。

10月中旬に発売予定の雑木の本。

住環境として、家と庭の関係性や空間的な要素、メンテナンスや病害虫なども本格的に

解説され、充実した内容で構成が進められています。

楽しんでいただけるような一冊になると思いますので、

是非、手に取って読んでいただきたいです。

 

撮影を快く受けてくださいました庭主様、

心より感謝いたします。

良い季節に仕事以外で大事にされている庭を見る事ができ感無量でした。

ありがとうございました。

 

 

国際バラとガーデニングショウ

独立をして間もなく大きな壁に直面しました。

まだ今のようにパソコンの環境も良くなく、自分の仕事を知ってもらう術がありません。

なかなかうまく仕事に繋がらない。

そんなとき、たまたま立ち寄った造園屋さんにコンテストのチラシを頂きました。

『なんとかしなくては。』現状を超えていく大きなチャンスと思い応募したガーデンショウ。

あれから10年。久しぶりに協力者として作業をする機会をいただきました。

ワンステップ上に行く為に、自分を追い込み熱く語る想いに打たれ、少しでも力になれたらと思い。

ドーム内は植物や土の匂いであふれ、会場も活気にあふれています。

どの作品も情熱とアイデアに満ちあふれ、毎年毎年よく考えつくなと感心させられます。

彩り鮮やかな作品が目立つ中、私たちの作品は、re・birth(リ・バース)。

古代遺跡が風化して崩れ落ち、植物の力で再生していく生命の力強さを表現した作品です。

柱の文様はそれぞれ、水、地、火、風、太陽、月を表し、自然の中でいろいろなものが

合わさって命が生まれてくるという意味を込めています。

2階のスラブの上から砂が落ちてくると言う演出もあり、見る事が出来たらかなり運が良い方です。

写真ですと、うまく伝わりませんが、スケール感が大きく迫力のある作品です。

今週の20日、日曜日まで開催していますので是非ご覧ください。(16日、水曜日は休み)

 

中島くん、お疲れさまでした。納得のいくものが出来てよかったね。

ホッとしています。

賞おめでとう!!!

よい経験をさせていただき感謝いたします。ありがとうございました。

これからも宜しくおねがいしますね!!

 

 

 

根を回す

 

雑木林の新緑が一番色彩豊かな季節。

こんなにも新芽の色があるものかと思うほど、みどりのグラデーションが美しく、

山に咲く小さな花たちが色彩にアクセントをつけています。

鳥達のさえずりで雑木林は活気づき、生命力あふれる山に身を置くと、

穏やかな気持ちになり、強いエネルギーをもらった気分になります。

斜面地から花を咲かせているヤマブキです。

地味ではありますが、うぐいすが鳴き始める頃には咲き始め、

実も甘くて食べられるウグイスカグラなどが盛りを向かえています。

所沢の現場も、移植が芽吹きの時期と重なりました。

芽吹きの時期の移植は一番水を必要とするため、

根っこを切るとやわらかい新芽はぐったりとしてしまい、弱ってしまいます。

枝振りがよく素晴らしい木でも、突然の移植はできません。

根回しのできている、しっかりと準備してあるものを植え込んでいきます。

『雑木林の中で暮らしているような雰囲気にしてください』との希望でした。

話の中で畑仕事を趣味とされていることがわかりましたので、

庭の面積に対し大きく畑のスペースを確保して、ゆったりと楽しんでもらえるようになっています。

今回は建築の色が黄みがかったクリーム色です。

違和感のないように庭もある程度、色彩や質感を合わせていった結果、

はじめて使用した材料であふれましたが、味わいのある面白い雰囲気を醸し出してきました。

みどりが入ることで調和され、家もグッと引立ちます。

今回は新芽を傷つけることなく植栽を終えることが出来ましたが、気を抜くことはできません。

木の命を預かっているものとして、植物に無理はさせられませんから。

いつでもどんな時でも対応できるように準備を怠ってはならず、植栽から改めて学んだ気分です。

根回し、しっかりとした準備をすることで、はじめて可能になっていくこと。

未来に向かって、今何を準備していくべきか?改めて考えてみようと思います。(F)

夜桜

桜が見頃の時期となりました。

今年は遅い遅いと開花を待ち望んでいましたが、

入学式の時期に桜が満開になるのが本来の開花時期で、

この何年かが早すぎた開花をしていたように感じます。

穏やかな陽射しのもと、都内でもようやく満開に近い桜が見られるようになりました。

日中は、現場作業や図面書きに追われ、ゆっくりと桜を見ることが出来ませんでしたが、

夜桜のライトアップをしている自由学園.明日館を訪れました。

照明に照らされた桜は、とても美しい姿で迎えてくれました。

格調高い雰囲気に感動を憶えるこの明日館は、

近代建築の巨匠、フランク.ロイド.ライトとその弟子の遠藤新の設計です。

オーナーである羽仁夫婦の教育理念に深く共感し、設計を快諾したと言われています。

外観は『プレーリースタイル』で屋根は低く、建物は水平線を強調した平屋づくりですが、

中央棟には吹き抜けのホールがあり、大きなガラスが最上部まで設けられた

明るく開放的なデザインになっています。

開放期間中、中央棟の天井にも桜の照明がやさしく映し出されていました。

ホールではミニコンサートも開かれていました。

ゆっくりと心地よい音楽に浸りながら時間が流れていきます。


中央棟ホール、食堂への玄関廊下。廊下の両側には下駄箱、

傘立てやベンチが作り付けとなっています。

照明や収納棚、窓枠や椅子などすべてをライトがデザインしたもの。

遊び心にあふれ、幾何学的な中にもやさしさが感じられます。

ライト設計の帝国ホテルの椅子と似て、六角形を基調とした椅子。

ラワン材を使用し、背もたれは六角型で革張りのシート張られています。

可愛らしい椅子の座り心地は抜群です。

ライトが日本で出会った大谷石。

内部空間と外部空間を大谷石で統一してひとつにつないでいます。

調和を大切に、連なって流動している様子を演出し、

複雑なデザインの調度品が点在している空間は、

芸術性の高さ、全体構成、細部に至るまで、

ライトが悩み、楽しみながら設計をしたことを感じさせます。

建物は使いながら文化価値を保存する『動態保存』のモデルとして運営されています。

守っていくことは様々な障害や苦労があることと思いますが

いつまでも守り継いで未来に伝えていただきたいです。

 

文化財を身近に感じ、今を生きている美しいライトの遺産を肌で感じ、

夜桜とともに幸せなひと時を過ごすことができました。

 

貴重なひと時を与えてくださいました関係者の皆様、どうもありがとうございました。(F)

 

 

 

 

 

 

 

つながり

明治21年、英国人宣教師、A.Cショーが別荘を建てたことから、

その歴史が幕を開けた避暑地.軽井沢。

古き良き避暑地の面影を残す旧軽井沢は、美術館やホテル、

教会といった西洋文化の薫る名所が数多く点在しています。

広大な森の中の澄んだ空気の中にひっそりと別荘が建ち並んでいます。

ゆっくりと歩き散策するには最高なロケーション。

何とも言えない懐かしい風情が漂っています。

縁あって この素晴らしい環境の中での造園設計依頼を受けることになりました。

大きな樹木が立ち並び、どこまでも続いていく森。

建物と森とが自然に馴染み、違和感なく風景としてつながり、

全身で生命の力を感じることのできる庭づくりです。

建築〜庭. 庭〜森。

人工から自然への橋渡しとして、大きなウェイトを占めている庭。

改めて庭の重要性を感じます。

みどり豊かに潤いのある森と人が上手に共存出来る空間を目指して。

都内ではなかなか出会えないロケーションを最大限に活かし、スケール感を大きく

森とつながることを意識して考えていきたいと思います。(F)

 

 

 

早春に賦す

 

ここ数日の暖かな天候に恵まれて、あちらこちらで春を告げる花たちが開花を始めています。

早春に咲く花は比較的、黄色の花をつける植物が多くあります。

マンサクやサンシュユ、アブラチャンなど鮮やかな可愛い黄色の花をつけます。

春の雑木の花は黄色から始まり、白色から紫色へと移っていき夏に向かっていくようです。

菜の花も綺麗に群れをなして咲いていました。

カタクリも雑木林の足元から顔を出しはじめました。

落ち葉にまぎれ、見過ごしてしまいそうな小さなカタクリの花。

これから群れをなして咲いてくると雑木林がにぎやかになってきます。

蜂や蟻などの虫たちの動きも活発になってくる頃です。


一雨ごとに暖かさを増し虫達も活発になる春の長雨に泣かされていた練馬の現場も、

今週に入り天候が安定してようやく竣工にたどり着きました。

二世帯住宅の中庭がデッキで繋がるプライベートな空間です。

境界のブロックが低く、視線が気になり部屋の窓のブラインドを開けることができませんでした。

そこで目隠しとしてウッドフェンスを設け、大きな植栽スペースを幾つか作り、

高低差を付け変化を持たせることによりフェンスの圧迫感を軽減しています。

雑木を中心に山の雰囲気が感じられるように、やわらかく植栽することを意識して植えられました。

水鉢は英国製のアンティークたらい。

バケツよりも大振りでゆったり水が入ります。

大きな鏡のように樹木を映し、光を反射して潤いと動きをもたらします。

スペースの小さい所ほど、大きくゆったりと観賞ポイントを取った方が空間が生きてくるようです。

今後、水鉢には睡蓮とメダカが入れられることになっています。

写真ではなかなかうまく伝えることができないので残念なのですが、

小さなスペースながらも等身大で自然を感じられる空間になっています。

これから芽吹いてくると印象も良くなり、グッと雰囲気を増してきます。

水の滴る音、小鳥の声、風の音など、庭を通して今まで気付かなかったことが、

五感で感じられるようになります。

潤いのある環境で暮らしを楽しみながら、

笑顔が絶えない空間になったら嬉しく思います。

 

依頼から竣工まで約1年がかりになりながらも、辛抱強くお待ちくださった庭主様。

庭の完成を本当に楽しみにしてくださったお母様。

心より感謝いたします。ありがとうございました。(F)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春のかおり

世界トップレベルの野菜を揃え、色鮮やかな野菜が並んでいるレストラン農家の台所。

ワクワクする店内には選挙ポスターが飾られており、

こだわりの野菜たちを作った生産者たちの顔が写されています。

農薬や化学肥料に頼らない、持続可能な農業を実践され丹精込めて野菜を育てています。

健康的な土づくりをすればしっかりと根を張り、病気や害虫にも強い丈夫な野菜が育ちます。

安心.安全は当たり前で、その先の美味しさ.美しさも追求されている精鋭達。

すぐには結果のでない農業。地道に土づくりから始め、長年の経験と自分の信じた方向へ向かって

毎年試行錯誤しながら改良して、より良い品質のものへ手掛けていきます。

私たちの仕事と共通する事が多い農業は、技術だけではなく精神的な心構えも含め

いろいろな事を学ぶ事ができ参考になります。

この季節になるとポスターにも写っている中村安幸さんの畑を訪ねます。

お目当ては『東京うど』。

始まりは江戸時代といわれ、東京を代表する伝統野菜をいただきに伺います。

室や半地下で陽の光に当てる事なく育ったウドは、色が白く香りが良いのが特徴です。

暖かく一定な温度に保たれた室の中で、幻想的な姿でうどが育っています。

室の中は春の香りでいっぱいです。

陽に当てていない分、山うどに比べてアクが少なくシャキッとした歯ざわりが楽しめます。

うどを食べないと春が来ないようで、毎年一足早い春の味覚を楽しんでいただいています。

食べ方は工夫しだいで豊富にあるそうです。

私はシンプルに天ぷらやきんぴらでいただくのが好きですが、

はたして今年はどうやって食べるのかな?  楽しみです!!

いつも献身的に畑と向き合い、手間を惜しまず情熱と愛情を野菜に注いでいる中村さん。

『楽な仕事ではないから面白いね〜』という言葉の裏にはいくつもの苦労があると思います。

その苦労を乗り越え愛情たっぷりの野菜を収穫して消費者に、美味しい!

と喜んでもらえた時に苦労が報われます。

すべてはその瞬間の為に。

 

志は同じなのですが、私にはまだまだ修業がたりません。

見習っていく事がたくさんあります。

すぐに結果の出ない仕事だからこそ、今できる事を精一杯取り組み実行していく。

先を見据えて行動していかないといけないと気付かされます。

 

素敵な笑顔で美味しく.美しい野菜をつくり続けている中村さん、

貴重な野菜たちをいつもありがとうございます。

大事に春の香りを味わっていただきたいと思います。(F)

 

 

 

 

練馬の庭 始動

 

練馬区関町の庭がスタート致しました。

3年前に家を二世帯住宅に建て替えた、庭主様とお母様の部屋を繋ぐ中庭です。

プライベートな空間を居心地よくして、家族団らんのひと時を

緑豊かな空間で過ごせる庭にしていく予定です。


今回の素材は大谷石、レンガ、枕木、、御影石とすべてアンティークの材料でまとめます。

古材の質感は味わい深く、その素材自体に力があります。

一つひとつの個性が強いためバランスを取るのに苦労しますが、そこがおもしろい所のひとつです。

決して広くはないスペースですが、広さを感じる事ができるよう無駄なく、

与えられた空間を最大限有効活用していきます。

日照時間は今時分で3、4時間ぐらい。

お昼を過ぎると陽は差し込む事はなく、比較的暗い印象を受けます。

その印象を庭として上手に活用していき、雰囲気をもり立て、全体を馴染ませていきます。

庭から会話が弾み、ご家族の笑顔があふれるような雰囲気づくりの始まりです。(F)

 

色気


打ち合せの為、神奈川県の葉山を訪れました。

久しぶりの海、朝日を見ようと朝早く出てきましたが、

厚い雲に覆われて見る事が出来ませんでした。残念。

葉山の現場は、住宅分譲地で長方形の土地ですが、オーナーの希望で建築を斜めに振ってあります。

庭としておもしろい感じになるのではないか、と楽しみな案件です。

良い提案が出来る様、イメージを膨らましていきたいと思います。

ここ数日、暖かい日が続いているので、春の花たちもようやく顔を出してきました。

スイセンやマンサク、梅やユキヤナギが綺麗に咲き始めています。

すぐそこまで春が来ている事を、花によって教えてもらいました。

植物の健気な姿で、私たちはリズムを取り戻す事ができます。

打ち合せ後、鎌倉に立ち寄りました。

鎌倉には幾つもの切通しがありますが、上の写真は釈迦堂切通しです。

このような洞窟的な切り通しは珍しく、なかなかの迫力があります。

荒々しく削られた壁。高さ約8mほどある壁面の上部は、

石質や削りだされた時代も古く、風化が著しい印象を受けます。

下部はやぐらなどが掘られ、供養壇や石塔類が設けられております。

石ノミの跡も残っている感じは生々しく、人と自然と長い年月でつくられた、

力のある切り通しです。

切り通しから削りだされた石は鎌倉石と呼ばれ、凝灰質の粗粒砂岩です。

柔らかく、加工・細工のしやすい鎌倉石は、用途も多く、さまざまな物に使われてきました。

耐火性も強く、蔵や鍛冶屋の炉にもなっていたそうです。

北鎌倉の浄智寺は鎌倉石をつかった美しい石段がありました。

長い時間をかけて、人の足と風化によって削られた鎌倉石は 丸びを帯び、

苔も乗り、渋い味わいを醸し出しだしています。

先人たちの積み上げた石段は美しい色気を漂わせていました。

尾根が複雑に入り組んだ鎌倉の地形を利用して、

山と山の谷間に鎌倉ならではの庭園文化が築かれていったのでしょう。

庭のちょっとした所に、さりげなく、ぽつんとある五輪塔も美しさを感じます。

材木座で4年前に手掛けさせていただいたお庭は、庭主様の愛情で格段に雰囲気をましています。

林床も丁寧に清められ、苔も乗りはじめました。

最近チャドクガの発生が多く、敬遠されてしまう椿ですが、何種類か植っています。

庭をよく観察して愛情をかけているので、初期の段階で駆除でき、

虫に食べられる事なく綺麗な花をつけています。

椿はとても良い樹木です。愛情のかけかた次第なんですね。

室礼を大切にして、季節を重んじて接している事で色々なものに意識がいくのかもしれません。

写真のアプローチも苔と同化してくると、ぐっと色気をましてくると思います。

色気….。

簡単な事ではありません。生涯の課題でしょう。

時と共に色気を醸し出しながら美しくなる空間、

常に意識はしていますが、なかなか難しいようです。

色気を感じられるようになり、歳と共に色気の漂う庭づくりをしていきたいものです。(F)