藤倉造園設計事務所

木陰の中で

暑中お見舞い申し上げます。

猛暑日と熱帯夜が続き、一年の中でいちばん暑さが厳しい季節がやってきました。

オリンピック観戦も重なり寝不足な日々が続いています。

 

夏期剪定も目処が立ち、ようやく気持ち的にゆとりができてきました。

年々、夏の暑さが厳しくなり、気を付けて作業しないと熱中症になりかねません。

 

コンクリートに固められた街に、容赦なく照りつける太陽の光。

大地からは陽炎がゆらゆらと立ち上ります。

室外機からは熱風が吐き出され、ゆであがりそうです。

そんな中、大きな樹木たちで冷やされた空気が流れる緑陰は、

作業していても心地よく、爽やかな風が流れ、灼熱の暑さを軽減させてくれています。

風が葉を揺らせる音や、打ち水をして地面に水がしみ込んでいく音なども

夏の暑さを和らげます。

自然と上手く付き合っていくことが大切であり、楽しまないともったいないですね。

作庭してから12年の歳月を経た、この庭の木々たちは

害虫被害もなく元気に育ち、良い環境が保たれています。

 

害虫退治に小鳥たちが見回りにきてくれているようです。

大きな樹木は、小鳥たちの羽休めになり巣作りの場にもなります。

林床では小鳥たちからの贈り物である種から、マンリョウやセンリョウ、ヒサカキなどが

あちらこちらから芽を出しています。

実生の木々が豊富にあると自然らしさをより強く感じることができ、

偶然から生まれる美しさは眺めていても飽きません。

ここ浅間山の緑陰ではヤマユリが咲き誇っています。

蝉も大合唱を繰り返し、緑陰の空間ではさまざまな生物が命を燃やしています。

山道を歩いていると、珍しいタマムシがぶつかってきました。

この山では、もう見ることはできないと思っていたタマムシくんです。

 

開発や農薬散布などで居場所が無くなり、

当たり前にいた生物がなかなか見ることが出来なくなっている中で、

細々と命をつないでくれていたと思うと嬉しくてたまりません。

みどりを豊かに心地よい緑陰を増やし、

多くの生物にとって住みやすい環境づくりをしていかねばなりません。

そのような環境が、暮らしの庭から広がるよう願っています。

 

 

 

おかえり!

手入れの時期に突入しています。

だいたい手入れは、初夏と年末のどちらかに分かれますが、

樹木の成長をコントロールしていくには初夏の方が良いようです。

しかし、近年夏の猛暑が続き、

夏前に手を入れた樹木の幹が焼けてしまい一時的に弱ってしまいます。

手入れも慎重に考えて手を入れていかねばなりません。

手入れは庭の環境を整え、林床に光を当て、健康に維持していく為の大切な作業です。

ここI様邸は30年来のお付き合い。

毎年毎年『ただいま』と言いそうなほど、自然な気持ちであたたかく向かえてくれます。

本当にありがたいことです。感謝の気持ちでいっぱいです。

作庭当初、黒土で仕上げた林床も、今では真っ青な苔に覆われ健全な環境が保たれています。

害虫の被害も以前よりもかなり少なくなりました。

害虫が発生しても無農薬の木酢液などで、害虫の活動を弱めていきます。

時間はかかりますが、庭を健康にしていくことが一番なのです。

一時的な処置の農薬はとは違います。

ここ上野原の陶陽庭でもいっさい農薬は使っていません。

虫にかじられている葉もあまりなく、人に悪影響を与える害虫も見たことがありません。

野鳥や益虫と呼ばれる生物たちも多くいるからなのか、良い状態の環境が保たれています。

みどりも青々と本来の姿で。

本来の姿になっていくこととは、健康になる環境づくりが必要なのです。

弱っている樹木ほど病害虫に犯されやすく、そこで農薬に頼ると一時的には良くなりますが、

良い微生物まで殺してしまい悪循環を生み出します。

木々を健康に強くしていくことが肝心なのでしょう。

健康なみどりを見ることは嬉しく、大きな力を貰えます。

小さな下草類(ユキノシタ)も光が適度に当たることで可憐な花を咲かせています。

流れの水が落ちる池の脇には、山紫陽花が綺麗に咲き誇っています。

その時期になるとちゃんと咲いてくれます。

植物の力でリズムを取り戻せます。

池から視線を上に向けるとモリアオガエルの卵が!!!

今年も帰って来てくれました。

健康な環境には生命が宿ってくれます。

健康な環境で豊かな生態系が築けることは素晴らしいことです。

庭の大きさは関係ありません。

小さくても豊かな環境は築けます。

少しでも多くの空間から豊かな環境が生まれることを願い、

実行して行くことが大切なことなのです。

 

そして、モリアオガエルくんおかえりなさい!

楽しみに待っていましたよ。

なかなか姿を現してくれませんが、

今度、一枚モデルになってくれませんか?どうでしょう。

 

 

 

 

 

 

仕事納め


2011年の仕事納めは6年前に施工した(T)さんの庭です。

常日頃から庭のことを大事に思い、愛情を込めて庭と向き合っている(T)さんの庭は

雑木達も健康に育ち、良い生態系が保たれています。

葉を落とした雑木の庭も良いもので、幹の肌の色や樹木の傾きを見ているだけでも

新緑や紅葉に負けない見所のひとつです。

春先まで落葉樹の葉はありません。

毎日眺める住宅の庭で、冬の4ヶ月間を楽しく飽きがこないようにするには空間取りを含め、

雰囲気づくりに徹していかないと難しいようです。

冬の庭はごまかしは効きません。

植木屋としての課題のひとつであり、冬の庭こそ見応えのある空間にしたいものです。


写真奥に見える小屋は物置と駐輪場になっています。

毎日のように通学や買い物などで自転車を出し入れする為、

庭の面積からすると少し広めの園路を設けましたが、

雑木達も成長をする中でボリューム感を増し、

今となってはちょうど良い広さの園路として馴染んできました。


駐輪場への道すがらは三和土です。

関東の赤土をベースに石灰とにがりを混ぜ合わせて叩き込む工法は、

自然素材のため、コンクリートと違い年を増すごとに状態が良くなっていきます。

当時、近所の豆腐屋さんから分けていただいたにがりを、手の力で叩き込んだ土は、

時間とともに硬化していきました。

多少の凹凸はありますが、苔に覆われてきた三和土は、

赤土の優しい色で違和感なく庭に同化して雰囲気を明るくしてくれています。

陽当たり良好であったこの住宅も、4年前から隣地に大きなマンションが建ち、

冬の間はなかなか陽の差し込む時間が少なくなりました。

当初下草で植えていたミヤコワスレやアヤメなど、

花を楽しむ下草の勢いが少し弱くなってきた植物はありますが、

わずかに陽の当たる箇所に種を飛ばし命を繋げている植物の生命力にとても力を貰います。

 

樹木をはじめ、命ある植物には計り知れない力があります。

人の心を和ませ、幸せな気持ちにさせてくれる植物を

もっと理解して最大限活かしていく努力を重ねていかねばならないでしょう。

 

今年は震災や台風といった自然の脅威を改めて知った1年でした。

自然とは時に鋭く牙を剥き、恐ろしいものですが、

同時に感動でき優しい気持ちになれるのも自然です。

 

私たちの仕事は、住宅にみどりを植えて住む方々に居心地良く暮らしていただけるように

住環境として空間を整えていくことです。

大自然のように雄大な雰囲気づくりは難しいですが、居心地が良く、自然を肌で感じられ、

ちょっぴり感動のできる庭づくりを続けられるように駆け抜けていきたいと思います。

 

庭主様たちをはじめこの1年、たくさんの方々にお世話になりました。

心より感謝申し上げます。

来年もどうぞよろしくお願い致します。(F)

 

 

 

 

 

 

 

 

駐輪場の庭7年目の手入れ

10月から休みもなく手入れに追われる日々も、終盤を迎え先が見えたので、

精神的にゆとりが出てきました。

そんな中、竣工してから7年の時を経た雑木の庭の手入れに訪れました。

小さい庭ながらも雰囲気を増してきて、来るたびに喜びを感じます。

とくに7年間、消毒などせずとも健康に育っている木々たちのことを何よりも嬉しく思います。

設計した時のイメージを超え、小さなウッドフェンスの仕切りで囲ったことにより

逆に広さを感じられるということを確認でき、大きな収穫のできた庭でもあります。

師走の終盤にも関わらず、美しい紅葉をしているコナラを始め、

モミジやアオダモなども健やかに育っています。

そんな樹木の本来の成長のあり方を尊重して、

決して押さえつける手入れはせずに、のびのびと育った樹木たちの成長に、

私達は自然を感じ、喜びを感じているのです。

作庭当初、小学2年生で庭づくりを興味津々に眺め、笑顔の可愛かった小さな男の子も、

中学3年生になりたくましい青年になっています。

声変わりもして私達に会うことも恥ずかしそうにしていましたが、

話してみると笑顔は当時のまんま可愛い笑顔でした。

樹木も人間と同じ、押さえつけると反発して良い方向にはいきません。

上手にその個性を生かしていくように、

バランス良く手を加えて良さを引き出していかねばなりません。

小さい敷地ながらも家族4人分の駐輪場を確保しなければならなかったため、

敷地の半分以上が駐輪場ですが、小さなスペースほど雑木の特徴が生かされます。

敷地に対し広い駐輪場がネックでありましたが、居心地のよい空間を保っています。

家族の成長と共に、年々、庭も雰囲気を増していきます。

そんな庭の木々の変化から四季を感じて、そこでの日々の暮らしから、

感受性豊かな心に響いていくものが少しでもあれば幸いです。(F)

白樺、青空

小さな頃からよく白樺と唐松の林の中にあるキャンプ場に連れて行ってもらいました。

ここは、枝も沢山落ちていて、それを拾い集めることから始まって、背負子に積み、

山ほど集めた薪を盛大に燃やして、朝まで楽しむことができました。

白樺の皮は、油分が多く火を熾すのにとても都合のいいことを覚えると共に、

ぐるりと一周皮を剥いてしまうと木を弱らせてしまうという戒めも共に学んだのでした。

北海道では、花粉症の原因として嫌われることもあるようですが、

お客様の中でも白い幹の美しい白樺に憧れる方は多くおられ、今日の現場でも、

藤倉造園の先代の社長が植えた白樺がとても伸び伸びと育っています。

もともと成長の早い木が、従来の寒冷な地より温暖な東京ではますます成長が早く、

限られた敷地の庭では、何かしら切られてしまうことがほとんどです。

しかし、この木は、切られることに弱く、

そこから虫が入ったりして衰弱していくケースが多々あります。

秋から落とされる種の量も半端ではなく、庭にはどっさりと種が積もっています。

そんな白樺も、この現場では、お客様の理解と広い敷地の真ん中に植えられたことが功を奏して、

隣家にも比較的迷惑をかけることなく、今日まで30年間伸び伸びと育ってきています。

今日は、手入れの最中、青空に映える白樺があまりにも美しく思わず写真に収めました。(T)

 

新しい故郷

私達にとって庭づくりをさせてもらった現場は様々な思い入れがあり、

引き渡しの時は寂しく、まるで娘を嫁に出すような複雑な気持ちに包まれます。

ここ町田市鶴川の現場は、以前のホームページを開設して初めての依頼で庭づくりに繋がった、

私にとって記念すべき庭です。

庭主様の故郷、九州より庭石を運び込み、変わらぬルーツを残し、

関東の武蔵野の風景を加えて新しい故郷を作りたいとの依頼でありました。

7年前に竣工をした庭は、時と共に良い環境が保たれ、雰囲気を増しています。

木々達もようやく土地に馴染んできたようで、、力強さを増してきた印象を受けました。

今年はあまり期待していなかった紅葉も素晴らしく、色鮮やかに眼を楽しませてくれます。

手入れをして照葉が落ち、色鮮やかな林床を掃いて掃除をしてしまうのが

ちょっと惜しい気持ちになりつつも、手箒で林床を清めていきます。

ただ、漠然と掃除をするのではなく、つくばい回りの石の組み方や下草の植え方など、

気にしていく所は数多くあります。

当時はこのように石を組んだのか〜など、自分の目線を下げることでしか

眼に入らないことから学ぶことも大切な仕事です。

陽が差し込み建築に樹木の影が映り、林床に木漏れ日が踊る姿は良いものです。

手の入れ方次第で大きく雰囲気が変わってしまうことを肝に命じて仕事をせねばなりません。

故郷の九州の庭はもうありませんが、7年目を迎え貫禄を増し、

ようやく新しい故郷として九州の庭と肩を並べるぐらいの雰囲気になってきています。

雑木達の成長を尊重しつつもバランス良く、自然に逆らわない手法で、

年々雰囲気を増し、いつまでも眺めていたい景色へと続いていけるよう

見守っていきたいと思います。(F)

 

 

 

そよそよとした庭 2年目の手入れ

朝早く事務所へと通う車内は、携帯画面に見入る人、イヤホンをしている人、

疲れきって寝ている人など、全体的にどんよりとした空気に包まれています。

ともすると自分もそんな波動に飲み込まれてしまいそうになる時もありますが、

この日は、新宿方面から上がる朝日を見て、歓声を上げている人が何人かいて、

そんな人達と乗り合わせることができると嬉しくなります。

この現場は、横浜市青葉区の庭。

ちょうど二年前に産まれました。

これは、もともとあった庭を更地にして、生け垣を植え終わったところです。

そよそよとした庭を望んでいた庭主さんの期待に応えるべく、

在来種の野山の木をバラエティ豊かに選んで、

林床は、本当の山の中のような雰囲気に近づけようと、

ウッドチップを敷き詰めてあります。

足の裏から伝わるフワフワとした感触は心地良く、雑草もあまり生えず、

落ち葉が落ちても全然気になりません。

L字型の庭の地形を活かし、蛇行して行く小道は、

この奥にはどんな風景が待っているのだろうという期待感を抱かせます。

これは、植栽後一年経った、ある夏の日の風景。

玄関前には、既存のシマトネリコがだけが勢いがあってボリュームがあるので、

それを手入れでうまく透かして軽くして、新しい雑木の仲間たちとの調和をとります。

そして、今日は二歳を迎えた庭の定期検診です。

今が盛りの紅葉がきれいな葉っぱをあまり落とさないように軽く整え、

かつ来年の庭の健康と風景を考慮しての手入れです。

この空間は、ギャラリーページのUM庭でもご覧いただけます。

事務所のすぐそこ、浅間山の木々も少しずつ少しずつ色づいてきました。

今年も残すところ後一ヶ月。

お客様達が気持ち良く新年を迎えられるように庭をきれいに整え、

かつ庭の木々が長い視野で見て良い住空間を醸成していけるように、

心を込めて、手を入れさせていただきます。(T)

小さな秋

昨日、今日と小金井市梶野町の現場で手入れです。

何十年と今の庭主様の前の代から、ずっと変わることなく家を見守り続けてきた赤松が、

毎年この季節になると私達を迎えてくれます。

この大きな松の手入れは、熟練の職人の技を持ってしても一人で丸一日かかります。

私達が新たに庭作りをする場合、新たに松を植えることはまずありませんが、

日本古来のこうした松の手入れも、この水準でやらせていただきます。

松はよく幹巻きといって冬になると藁を巻き付けて、春にそこに集まった虫ごと

焼いてしまう虫の駆除方法がありますが、こうしてほうきで幹をこすってやることでも、

虫に越冬させない効果がある他、幹の赤さを際立たせ美しく見せることもできます。

手入れでは、枝葉を落とすだけではなく、最後の仕上げ、林床の掃除が、

出来不出来を左右します。

私達は、燃料を浪費するだけでなく、大きな音で町の静寂を破ってしまう

ブロワーには頼らないようにしています。

柔らかいほうき、固いほうき、手ぼうきを使い分けて庭を丹念に清めていきます。

昼休みには、現場のすぐ横の畑で、とても立派な里芋とヤツガシラを作っている畑に魅せられ、

私達もヤツガシラを作っている身ですので、そのものすごい株立ちのどっしりとした芋を

栽培する秘訣を伺いに行きました。

その答えは、なるほどな〜というもので、ぜひ来年は試してみたいと思う秘訣であったのですが、

そのおじいさんが、手入れが終了する頃、里芋を一輪車で届けにきてくれました。

農薬などは一切使わず、肥料も特別やらず、藁をまいて温め、古畳で寒さをしのぎ、

昔からの方法で様々な食物を育てています。

声高にエコを叫ばずとも、本物は私達の身近なところに

静かに、しかししっかりと地に足をつけて、佇んでいるのだなあと嬉しくなりました。

お天道様が、まだ高いところから地面を照らしてくれている間に、

手入れは終わったので、ちょっと近辺を散策してみました。

11月も下旬だというのに温かい日は続き、紅葉も今ひとつですが、

忙しくて紅葉の名所に行けない私達の目をも身近な小さな小さな秋が楽しませてくれます。

庭は、なかなか本物の自然の美しさにかなうものではありませんが、

そんな場所へ、そうそう行けない私達の日常生活を潤して欲しいという思いがあって、

少しでも自然を感じたいという思いがあって、住環境を良くしたいという思いがあって、

そこで初めて存在価値があるのかもしれません。

そんな庭主様の思いに、少しでも添いたいという強い思いで、

日々、庭を引き出し、庭の手入れで、それを維持しております。(T)

 

国分寺の庭4年目の手入れ

日が暮れていくのもいっそう早くなり、慌ただしく手入れを行なう日々が続いております。

ほぼ毎日のように現場が変わっていく中で、私達の手掛けた庭のお宅を訪れるのも楽しみのひとつです。

私達が庭に手を入れ整えていけるのは年に1回、多くて2回です。庭主様達の庭への日々の愛情の掛け方で大きく雰囲気が変わってしまうのも

正直な所、かなりのウエイトを占めています。そんな中で、イメージした以上の環境になっている庭も多くあり、

住まう人たちの笑顔で迎えられるととても嬉しくなります。ここ、国分寺の庭も4年目を迎え、作庭当初より住環境として遥かに良い環境に

育ってきています。

庭スペースは駐車場を広めにとっている為、決して広くはありませんが、小さいながらにも雑木の特徴が生かされ山の雰囲気が味わえます。

手入れとして葉を落としてしまうのが惜しいぐらい気持ちよく木漏れ日が踊っています。紅葉も徐々に始まっており、クヌギの黄葉をはじめ、

様々な雑木達がコントラスト豊かに染まって眼を楽しませてくれました。

雑木の庭は四季折々豊かな表情を見せ楽しませてくれますが、欠点は何と言っても成長が早い所です。

住宅や敷地のバランス、下草育成のため林床への陽光を入れる為、放ったらかしで自然樹形にしていく事は住宅地では難しい事です。

雑木の手入れを柔らかく自然な感じに仕上げていく事は非常に難しいのですが、葉っぱの量で成長をコントロールしていき、

バランスよく手を入れる事で、よりいっそう環境を豊かにしていきます。環境が豊かになり、

庭主様の愛情の詰まった庭に家族が集い笑顔の絶えない空間になれば幸いです。(F)

 

日陰の庭6年目の手入れ

多摩市にお住まいのI様の庭の手入れに訪れました。

早いもので設計施工させていただいてから6年の歳月が流れました。

玄関脇の小さなスペースに植えた雑木達も良い感じで木漏れ日を落としています。

雑木のボリューム感も増し建築とのバランスも良くなってきました。

物干スペースでもあるこの庭は洗濯物があるとちょっぴり山里の雰囲気を感じる事が出来ます。

北側の坪庭は作庭当初より格段に雰囲気を増しています。

黒土仕上げの林床はシダやコケなどが繁茂し始め良い環境が保たれています。

日照時間も限られ厳しい条件の中で元気よく育ってくれるかと当初心配しましたが、

厳しいながらも懸命に生きる植物の生命力に力を貰います。

西日がわずかな時間だけ差し込みます。植物にとって必要不可欠な陽の光が数時間入り込むだけでも

最近の都市住宅事情では贅沢なのかもしれません。

住宅が建ち並び、土地いっぱいに建築が建てられる現在、

緑のあり方も考えていく余地は多々あります。

渋さを出すためには暗い空間の方が有効的かもしれません。

その暗さをうまく活かし、住まう人にとって居心地の良い庭環境を

引き出して行くことが私達の仕事です。

緑の力を十分発揮出来る住空間にできるよう今日もまた一歩踏み出します。(F)