「家庭」という言葉の中には、「庭」がありました
家庭という言葉がありますが、庭の中に家があり、その家の中で人は暮らします。そう考えると、鑑賞重視の庭もよいのですが、、自然と共にある豊かな暮らしの住環境としての庭が必要なのかもしれません。化学農薬を散布して、有益な虫や微生物までも抹殺してしまうことは避けられるように、手入れや病虫害対策も工夫しています。目に見えない部分の生態系としての美しさを損なわないことが大切だと思うからです。
「用と美」の空間作り
かといって、単にエコロジー志向の庭ではなく、それでいてデザイン重視の庭でもない庭作りを目指して、植木屋にできる社会貢献とは何かを常に考えています。環境意識は、現代に生きる私達にとって、必要不可欠ですが、実用一辺倒で、遊び心がないのも面白みに欠けるので、美意識をも大切にし「用と美」の空間作りを目指しています。私達は、「この庭作ったの?」と感じるような空気感や雰囲気を醸し出す空間に「美」を感じます。
一つひとつの庭作りに心を込めて
近年、庭はどんどん減っていて、わずかに残された木も、虫や落ち葉を嫌って伐採されてしまうことが多いです。街路樹は、人や車の都合で、自然樹形とはほど遠い無惨な姿にされてしまいがちです。そんな現状に、胸の中で消化できないような悲しい気持ちは強いのですが、今の私達にできることは、それを否定することではなく、柔らかい心で、ほっこりと、小それたことを地道にやっていくことです。お客様との対話を大事にして、「こんなの好きだな、心地いいな〜」と共感していただける空間を、一つ一つ生み出していくことで、そこから、和んだ空気の波動が、広まっていくことが、私達の夢です。
次世代に受け渡せる環境を
そんな一軒の庭作りがより多くの人の幸せや、次の世代に受け渡していける良い環境に寄与できるよう、ささやかな一歩を積み重ね、汗を流して、泥んこになって日々の実践を試みています。風の音や虫の音、ジーンと温かいものを感じたり、ふっと心が軽くなったり、庭という空間の奥にある芳醇な時間を、一人でも多くの方と共有したいと思っております。